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社長のたわごと

JOY MUSIC RECORDS主宰者、社長がしかるべきときにおもむろに更新するBLOG

Category: 音楽一盤(ディスクレビュー)

Tags: CDレビュー  佐野元春  

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音楽一盤 第16回 『THE SUN/佐野元春 and THE HOBO KING BAND(2004)』

こんにちは。社長です。

音楽一盤、2回分ブチヌキで佐野元春特集を決定。
日本語のロックのパイオニアであり20年を超えるキャリアを誇る現在まったくたちどまることなく革新的・確信的音楽を生み出し続けるロックジャイアンツを社長の稚拙な頭脳と文章で余すところありながらも総力特集。

佐野元春の一般的なイメージは「アンジェリーナ」「ガラスのジェネレーション」「SOMEDAY」などの80年代のヒット曲の数々だと思いますけど今回は2004年発表の『THE SUN』、そして今年発表の最新アルバム『COYOTE』という近年の2枚のアルバムをピックアップしていきたいと思います。


1. 月夜を往け
2. 最後の1ピース
3. 恵みの雨
4. 希望
5. 地図のない旅
6. 観覧車の夜
7. 恋しいわが家
8. 君の魂 大事な魂
9. 明日を生きよう
10. レイナ
11. 遠い声
12. Dig
13. 国のための準備
14. 太陽

このアルバムは数々のヒット曲を生み出し20年来をともにしてきた古巣EPICを離れ自身のインディペンデントレーベル「Daisy Music」からリリースされた第1作目のアルバムです。

ジャケットを見てみるとはてしなく広がる青空、高く高くそびえるレンガの壁、その壁の下にたたずむ佐野元春。どことなく日本ではないと思わせる風景です。

軽快なアコースティックギターのストロークから始まる1曲目「月夜を往け」。イントロだけでものすごい高揚感。ドキドキワクワクする音楽です。

悲しいときも
うれしいときも
強気なときも
弱気なときも
僕らの道が
ここに続く限り
二人が行く
この道を照らしといてくれ
いつまでも
いつまでも (月夜を往け)


とてもシンプルなメッセージ。爽やかなメロディ。それなのにどこまでも力強くたくましいサウンド。この曲を聴くたびにいつも元気になります。

2曲目の「最後の1ピース」はゲストのスカパラホーンズの面々が大活躍。特にイントロのサックスがめちゃめちゃカッコイイです。

あぁ 君を思う気持ちだけで
強くなれる 少しづつ
I'm getting stronger... (最後の1ピース)


佐野元春のすごいところはあくまでシンプルなリリックにこだわり難しい言い回しで煙に巻かないところ。難しいことを簡単に言うのって一番難しいと思うけど佐野元春は常にそれをやっています。例えば「I love you」というシンプルで使い古された言葉があってそれをどうしようもなく安っぽく陳腐にしてしまうアーティストと深い共感と永遠を与えてくれるアーティストがいると思うんだけど佐野元春はダントツで後者なのです。

この2曲も秀逸

昨日 従姉のママから
知らせが届いてた
墓参りの準備で
街の市場に立ち寄った
ありふれた日々
ありふれたブルー
陽は昇り 陽は沈み
何も変わらないものを
そっと抱きしめて
そうさ 愛しい場所の向こうには希望
いつだって希望 (希望)


ささいな憂うつも
夜明けには消えてゆく
心の迷いも
いつかは消えてゆく
1,2,3,4,5,6,7 years
重ねて生きる喜び
抱きしめてゆくよ
君と僕の...

Home Sweet Home (恋しいわが家)


80年代に「SOMEDAY」や「ガラスのジェネレーション」で青春を謳歌した若者たちの多くが現在家庭を築き、父親であったり母親であったりする今、同じように佐野元春の音楽も家族を見つめ日常のささやかな幸せを見つめている。それはとても心地のいい音楽。そこには年齢を重ねてなおあたらしい希望と未来を見出す喜びが溢れています。

口ずさむメロディーは愛
抱きしめる花はデイジー
時よ 静かに流れてゆけ

そこに陽はまた昇り
月がまた巡り
この世界はいつも
新しい
新しい

Sail on, little boy
Sail on, little girl
天使達の声が聞こえてくる
いつかこの世界が変わるその日まで
繰り返す言葉は I love you
繰り返す言葉は I love you... (君の魂 大事な魂)


「君の魂 大事な魂」はそんなこのアルバムの象徴的な1曲。自分たちの子どもたるlittle boy,little girlに対し優しく力強く「船出は今だ、漕ぎ出すときは今だ」と促し、自分はこの場所に立ちやはり「I love you」と口ずさみ続ける。それはとても美しいことです。

このアルバムに並々ならぬ説得力を与えているのは佐野元春のシンプルなメッセージ然り、エヴァーグリーンなボーカル然り、しかし脇を固めるTHE HOBO KING BANDのすばらしい演奏もそのひとつであることを付け加えておきましょう。

このHOBO KING BAND(以下HKB)は元春のパーマネントなバンドとして彼のキャリア中盤から結成されたバンドですがメンバーがまず豪華。
ギターデュオ「山弦」の佐橋佳幸
キーボーディスト、マルチプレイヤーのkyOn
元ルースターズのベーシスト井上富雄
社長が大好きな力強いドラマー古田たかし
マルチリードプレイヤーの山本拓夫

これにゲストで東京スカパラダイスオーケストラの面々など。

正直彼ら一人一人が超売れっ子でプロデューサーとしても活躍しててよくひとつのバンドでレコーディングからライブツアーまでできるなと感心します。

彼らの円熟ともいうべきすばらしい演奏があるからこそ佐野元春の楽曲にものすごい説得力が生まれてくるのだと思います。こんなに「うまい」ロックバンドはそうそうあるものじゃありません。アコースティック系でも「DIG」「国のための準備」などのノリノリロックナンバーもこの演奏力があってこそ心躍るというものです。ワクワクすると同時になんともいえない安心感もあります。

特典のDVDのレコーディングセッション風景でスカパラのメンバーたちが「HOBO KING」と書かれたスタッフ証を首から提げてはしゃいでいるのがほほえましいです。

アルバム全編を通して1曲だけ他と毛色の違う曲があります。それがラストナンバーでタイトルチューンとも言うべき「太陽」です。

God 夢を見る力をもっと
God 夢を見る力をもっと
愛しいあのひとに

God 少しだけ君は臆病になって
God 少しだけ僕も臆病になって
あまりにも残酷な
さよならがそこにあって

God ここにいる力をもっと
God ここにいる力をもっと
気まぐれなあのひとが
無事にたどりつけるように

God 風に舞う力をもっと
God 風に舞う力をもっと
愛しいあのひとが
そこにたどりつけるように

愛しいあのひとが
無事にたどりつけるように

愛しいあのひとが...

God God...
God God... (太陽)


アルバムをとおして日常の先にある「希望」を歌ってきた元春の裏側の想いがにじみ出ています。現実の世界は戦争がありテロがあり希望を抱くための日常すらままならない。元春はそのことを知っています。だから「夢をかなえる力をもっと」ではなく「夢を見る力をもっと」という切迫した言葉がでてきたのだと思います。希望と同時に我々は絶望も突きつけられている時代なのです。

そう思ってもう一度ジャケットを見ます。
あの青く広大な空を見上げ高い壁の下でたたずむ元春の写真は「夢を見ることさえ困難な時代」を暗示していたのではないでしょうか。

それでも「愛しいあのひとが無事にたどりつけるように」と祈り続ける。希望を持つことを人はやめません。

だから日常さえも犯されてしまったもののいる時代にあえて日常の中の幸せとその先にある希望を描いた元春に感動せざるを得ないのです。おそらく4曲目の「希望」とこの「太陽」は対になっているのでしょう。

そして「God...」と祈り続ける元春に社長はジョンレノンのGODという歌を思い出さずにはいられません。「聖書も信じない、ケネディーも信じない、エルヴィスも信じない、ただヨーコと僕だけが現実なんだ」というジョン。「夢は終わった」というジョンと「夢を見る力をもっと」という元春は社長の中では矛盾することなくイコールで結ばれます。
2人とも浮ついた理想論を捨て絶望と希望を照らした点でイコールなのです。
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プロフィール

社長(三田村 潤)

Author:社長(三田村 潤)
経営者でもないのに社長と呼ばれて10数年。完全自主制作音楽レーベル「JOY MUSIC RECORDS」を主宰。
最近記事量が少ないのは音楽活動が充実しているためだと信じたい。

遠距離系ポップデュオ「エーテルスケッチ」、宅ROCKソロプロジェクト「A to Z」のふたつのプロジェクトを中心に音楽活動をまったり展開。

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