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社長のたわごと

JOY MUSIC RECORDS主宰者、社長がしかるべきときにおもむろに更新するBLOG

Category: 音楽一盤(ディスクレビュー)

Tags: CDレビュー  L⇔R  黒沢健一  

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音楽一盤 第25回『Focus/黒沢健一(2009)』

こんにちは。社長です。

以前予告していたように今回の音楽一盤は黒沢健一です。その新譜の帯コメント「POPの焦点(フォーカス)--L⇔R活動休止後からソロ活動10年を経て今、七年ぶり待望のオリジナルアルバム」
この待望という言葉の真の意味、そして黒沢健一という類稀なる才能の現在のPOPの焦点。今こそここに書きつくします。



1. Grow
2. Feel it
3. Love Hurts
4. Scene39
5. Maybe
6. Silencio
7. POP SONG (al ver.)
8. Mute
9. Do we do
10. Somewhere I can go
11. September Rain


思えば7年前のアルバム『NEW VOICES』は黒沢健一にとっての最高傑作であると同時に大きな転換点ともなったエネルギッシュなアルバムでした。それまでのポール・マッカートニー的ともいうべき綿密なポップさは影を潜め、ラウドで荒々しいロックがそこにありました。

そのロック的な部分がさらに飛躍してか2003年からはギターロック的新バンドcurve509を結成、同時進行で石田ショーキチ等とMOTORWORKSという夢のようなバンドを結成、さらに同時進行で実験的ポップユニット、Sience Ministryを結成、と同時にアコースティックカバーユニット・健'zもやるという、ファンとしてはありえないくらいお小遣いの心配をしなければならないエネルギッシュな活動に入りました。

人段落つくとぱったりプロデュース業、作曲家業に入られてめっきり表舞台にはでてこなくなりました。さあ次に姿を現すときにはこの数々のバンド、ユニットのどれでくるかなと思っていて社長個人としてはcurve509だろうと期待も込めて予測していたわけですが見事に外れてソロ活動再開ときたわけです。

これは個人的にはもうまったくの計算外でしたが事前のレコーディングメンバーをみるとcurve509のメンバーがほとんど参加していて「それじゃ名前が違うだけじゃない?」なんて思ったりもしましたが実際にCDが手元に届いて聴いてみて自分がなんてバカなんだろうと思いました。人が一緒でも音楽が違えばソロですよね。

ということで前置きだけですでに長くなりましたが七年ぶりのソロアルバム『Focus』、いってみたいと思います。

1曲目「Grow」。ああ、この1曲目がある意味すべてです。しずかなピアノの伴奏から始まるバラード。まさかバラードからくるとは!!前作がぶっちぎりのロックナンバーから入ってたんでそのつもりで身構えていたのに大きく不意打ちをくらいました。そしてこの曲がまたいい!美しいといわずしてなんと表現していいかわからないメロディー。ファンの皆様、この曲だけで7年分のうっぷんなんて吹っ飛んじゃいましたね。

ところで。

クレジットをみるとこのアルバムでは2名のプロデューサーが曲ごとに使い分けられているのが分かります。ひとりは黒沢健一、いわゆるひとつのセルフプロデュース。もうひとりはシライシ紗トリなる人物。このことを頭に入れておくとこのアルバムはもっと楽しく聴けます。ちなみに1曲目の「Grow」は健一プロデュース。

で、2曲目「Feel it」シライシ紗トリプロデュース。実はこの曲はアルバム出る前から知ってるんですよ。というのはオリジナルアルバムこそ七年ぶりですけど昨年アコースティックアレンジのライブ盤がでてましてそれに収録されているんです。そんなわけでこのニューアルバムのいくつかの楽曲はオリジナルバージョンよりも先に特殊なライブアレンジが先にCDとして流通するというかなり異例の状態になっております。
なのでメロディーは知ってるけど・・・。って感じのこの曲。ライブ盤ではバラードに近いアレンジ、歌い方だったのがこっちのバージョンはアコギを活かした超ポップなアレンジ。そんでイントロとかで「Feel it」っていう言葉にうねるようなボーカルエフェクトをかけてあるんです。このへんの変な遊び心が恐らくシライシ紗トリという人の個性なんだろうな。黒沢健一のポップマニア的な懲り方じゃなくて純粋に遊び心というものが見えます。

3曲目「Love Hurts」健一プロデュース。いかにもなビートルズ的ナンバー。英詩。とくダネで小倉さんが絶賛してたらしいです。こういうのは初期L⇔Rがやってもおかしくない感じですけど、レコーディング技術等も踏まえて今のリアルな音質でひとまわり年齢の上がった黒沢健一がやるとまた味わいが違います。

4曲目「Scene39」これもシングルライクなキャッチーなナンバー。でも10年若けりゃもっと高いキーで歌ってたかもと思わせる今の落ち着きも感じるんですよね。

5曲目「Maybe」派手さはないんだけどなんとも新しい黒沢健一ですね。正直このアルバムを一聴したとき「原点回帰か?」なんて思ったんですよ。初期の綿密で完成度の高いポップ感といいビートルズライクなナンバーの多さといい。でもこの「Maybe」を聴くにつけそうとも言い切れんと、思ったわけですよ。というのもL⇔Rにしても初期ソロにしてもすごくカラッとしてるんですよ。でもこのアルバムにはすごく湿度がある。ものすごく感覚的で抽象的な言い方で申し訳ないんですけどこの湿度感はいままでになかったものですね。それがこの「Maybe」ではすごく顕著です。

6曲目「Silencio」うは!これはサイモン&ガーファンクルか!黒沢健一としては絶対に未知の領域のメロディー。縦笛系のソロも意外。多重録音によるコーラスがなんともS&Gなんですよ。これはしんみり切ない系なのににやけます。

7曲目「POP SONG」黒沢健一がまさに彼の象徴とも言える言葉をタイトルに冠した曲。このタイトルだけでドキドキもんですがAメロのファルセットといいサビの美メロといい黒沢健一のポップソングの文字通りの集大成。

いつも僕たちが太陽を求めるように
君の心の隙間にいつも光を届けてゆこう


なんていいこと言うんだ!ポップソングってそういうもんですよね、先生!

8曲目「Mute」黒沢健一のシニカルさ全開。「さあ、今度は誰任せなんだろう?」とか言ってます。「トゥットゥルルルル」ってコーラスに参加したくなります。うねうね動くベースを弾いているのはL⇔R木下裕晴です。一般的にはかなりマニアックなアレンジしてると思うけど黒沢中毒だとこれが平均値に思えてくる不思議。

9曲目「Do we do」今作一番のダンスナンバー。例のシライシ紗トリが腕を振るっているのかワウかかりまくりのギターといい4つ打ちのドラムといい健一的に異色過ぎます。おもしろい。ただひたすらにおもしろい。

10曲目「Somewhere I can go」アルバムハイライトのひとつ。これまた美しいバラード。ピアノとアコギで静かと思いきやcurve509なメンバーのお力添えでかなり力強いアレンジに。それにしても美しい。ただそれだけ。

11曲目ラスト「September Rain」podcastで映像作品として流れていたものの音源が初CD化。なんともビートルズ。あるいはブライアン・ウィルソン?けどこの人のファルセットの気持ちよさはもういちいちビートルズなんていわなくていいくらい独特のものになりましたね。曲は短いのでアルバムとしてはちょうどエンドロールのような感じ。

さてざっくりと全曲紹介しちゃいましたけど。
前作やさまざまなバンド活動の突き抜けたロック感からポップに回帰した、という言い方はおそらく半分正解。でもそれが初期の焼き直しには全然聴こえないんだよね。昔からのルーツミュージックの影響にまったくブレはないのに。彼の声がまた進化してるんじゃなかろうか。あるいは彼の声を活かすレコーディングやミックス、マスタリング技術ができてきたのか。演奏自体は極めてワンルーム的。つまりドライブには不向きです。というわけでロック的名盤の前作とどっちがいいかなんてのは極めて個人の好み的な話になりそうです。まあ全部すきですけど。

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プロフィール

社長(三田村 潤)

Author:社長(三田村 潤)
経営者でもないのに社長と呼ばれて10数年。完全自主制作音楽レーベル「JOY MUSIC RECORDS」を主宰。
最近記事量が少ないのは音楽活動が充実しているためだと信じたい。

遠距離系ポップデュオ「エーテルスケッチ」、宅ROCKソロプロジェクト「A to Z」のふたつのプロジェクトを中心に音楽活動をまったり展開。

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